2004/12/04

久しぶりに小説を読んだ。「フィニイ128のひみつ」。面白い。あとちょっとで理解できそうだけど途端に世界観がゆらぐような微妙な現実感を、小説というメディアでしかできない方法で体験させてくれた。矛盾や疑問がないとか整合性があるとかいったハードSFに期待される特徴は、はっきりいってない。そもそも人間が知覚できるレベルでは、現実の整合性なんて近似しかできない微妙な類のものなわけで、そういう世界をごりごり見せられてもへき易するだけだ。かといって設定が脆弱なわけでも伏線を取り散らかしているわけでもなく、読者自身が「語られていない何か」を議論したくなる程度に節度を維持している(「語られていない何か」は、あらゆるとんがった作品にとって重要な要素だ)。
それで、きっとみんなも好印象だろうと信じていくつかのWebサイトのレビューを覗いてみたのだが、自分と正反対の評価が目立つ。そうか、みんなこういうSFはきらいなのか。っていうか、「ひみつ」をわかりやすく説明してくれないといやですか。そうですか。「語られていない何か」は嫌いですか。
語られていない何かってやつは、体験した人間を語らずにはいさせないものだから、自分も思い付くところだけメモしておこう。
・14くらいまで、主人公が男だと勘違いしていた。読み終えてみると、最初は確かに男だったのかもしれない(7C「そんな娘は最初からいなかったんだ」。あるいは、冒頭の「ゆうじ」)。
・エリア51やマジェスティック12に含まれる数字は意味がある、16進で該当する節にキーになる話が含まれているっぽい。
・主人公そのものが「ひみつ」である可能性(主人公の斑点 =作中小説のタイトル。また、主人公が金のネックレスをしたSPに見覚えがあったのは、本書全体に対して主人公はメタ位置にいるから。作中におけるW&Wと現実の関係が、主人公と本書の関係に比較できそう)。
・幼稚園へ続く道へと踏み出さなかった理由はわからない。

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