2006/08/07

もう数年前から考えていること。

できることは基本に忠実に対処し、できないことは工夫して対処する

この態度、間違ってますから。少なくとも外国語→母国語の翻訳で望ましい態度は、まったく正反対。

できることは工夫して対処し、できないことは基本に忠実に対処する

仕事で技術文書の英→日翻訳を発注すると、最初の態度をとってくる翻訳者がとても多い。技術翻訳の場合、ほとんどの翻訳者は当該の技術分野について知識や経験がない。たいていは興味もない。そんなわけで、自分が意味のわかる英文は逐語的に訳して済ませてしまい、意味がわからない英文が出てくると意訳しようとする。意味が分からない英文の意訳って定義上不可能なんだけどね。それこそ逐語的に訳してくれればいいのに。自分が原文の意味をとれてないなら、絶対に意訳しようとしないでほしい。技術がわからなくて訳せない箇所は「訳せません」でいいし、文意に自信がないならせめて英文法に忠実な逐語訳をしてくれるとチェックが助かります。

一方、論文でもない限り技術文書にも日常的な英文は相当含まれていて、発注する側としてはそういう箇所は普通の日本語の文章のように訳してほしいんだけど、これがうまくない。例えば英語の文章には日本語の文章より指示代名詞が多いけど、それをそのまま訳してきたりする。

Becky did not hesitate to ask him it in the shop because she had wanted it.
なぜならベッキーはそれが欲しいと思っていたので、その店で彼にそれを求めることを躊躇しませんでした。

勘弁してください。「ベッキーはその店で前から欲しがっていた○○を彼にねだりました」とか、それなりに普通の日本語に意訳してもらいたいからこそ翻訳を依頼してるわけですよ。○○は、たぶん文脈からわかるでしょう? 適切に補ってよ。普通の日本語で「それ」っていうか?

もちろん、そういうのを求めるなら相応のコストを払えという主張に耳を貸さないつもりはないです。個人的には。

もちろん、すべての仕事について「できることは工夫して対処し、できないことは基本に忠実に対処する」べきだとは思ってないです。むしろ、できないなら手を付けるな、というべき仕事もあるし。とはいえ、その「手を付けない」という対応こそが、その分野での「基本」なのかもしれなくない?

もちろん、上記は特定の業務に対する愚痴ではないです。

もちろん、例に使った "Becky..." の英文は僕の作文なので英語としてへんちくりんな可能性があります。

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