2005/12/17

SICPの2.4項では、複素数を扱うプロシージャをもりもり作る例を説明している。複素数には、直行座標で表現する方法(実部と虚部のペア)と、極座標で表現する方法(ノルムと偏角のペア)があるけど、複素数どうしの和なら直行座標のほうが扱いやすいし、積なら極座標のほうが扱いやすい(積をとるっていうのは回転しながら延び縮みすることだから)。そんなわけで、どっちかの表現だけでなく、両方の表現で扱えるようにしたい。
このように表現の仕方が何通りかあるデータを扱うには、一般にいくつかのやり方がある。一番単純なのは、各データ表現ごとに衝突しないような名前を付けて、かたっぱしからプロシージャを定義していく方法。しかしこの方法では、あるデータがどの表現を意図しているのかをつねに人間が意識していなければならない。そこで、もうちょっと進んだ方法として、データにタグを付けることにする。こうすれば、タグに応じて異なる処理をするようにプロシージャを定義したり、都合がいいような表現に変換してから処理をするようにプロシージャを定義したりできる。
もっと上手いやり方は、2.4.3で説明している Data-Directed Programing という考え方である。これは、データ表現ごとに都合がいいように定義したプロシージャを集めて、それをテーブルとして管理するという方法である。そして、必要なプロシージャは、このテーブルから取ってきて使う。この方法が単純なタグを付ける方法に比べて優れているのは、それぞれの表現ごとにプロシージャの名前を区別しなきゃいけないとか、データの形式を統一しなければいけないといった心配なく、ざくざくとプロシージャを生み出せる点である。そのため、多人数での開発も容易になるし、そもそも不統一な形式で表現されているデータを一括して扱うこともできるようになる。

そうだったのかあ。何人かで並行して開発するとか、データ横断的な処理を定義するっていうのは、こういうことだったのかあ。面白い。面白すぎるよ、SICP。

しかし、2.4.3 だけでは、肝心のテーブルの扱い方はわからないのでした。「Section 3.3.3 でわかるだろう」って、そりゃないよ。3.3.3 まで読み進むのに何週間かかるとおもってんだ。Exercise 2.73 以降が解けないじゃん。

とりあえず "The Little Schemer" の Chapter 10 を参考に、この節でテーブルへのデータやりとりに使われている put と get というプロシージャを模倣するプロシージャを作ってみた。

naive-get-put.scm

とりあえず、とりあえず。

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